今や当たり前になった家賃保証会社。実は家賃以外も保証してくれるということはご存知でしょうか?
大家さん
管理会社に任せてるのでよく知らない…
そんな大家さんのために、家賃保証会社の仕組みや保証内容、選び方やリスク対策などについて、弊社代表の倉川に聞いてきました。
保証会社を付けていたにもかかわらず損害が発生してしまった事例や、具体的なリスク対策も紹介しています。ぜひ、この記事を参考に、現在の状況を見直してみてください。
もくじ
家賃保証会社とは?
家賃保証会社とは、すごく簡単にいうと、お部屋を借りた人が家賃を払えなかったときに、立て替えてくれる会社です。
倉川
要は保証人のようなものですね
保証会社ができたのはこの20年ほどのことだと思います。あいまいなのは、以前は登録制度がなかったので、正確なデータがないからです。家賃債務保証を専門にしている大手の会社、日本賃貸保証の設立が平成7年ですので、このあたりから家賃保証が少しずつ広まっていったと考えられます。
高齢化による単身高齢者の増加や核家族化が進むことによって、連帯保証人を頼みにくい状況がでてきたことで、家賃保証会社が必要とされるようになりました。
保証会社の仕組み
まず、入居者さんが保証会社にお金を支払うことで、保証人になってもらいます。その後、入居者さんが家賃の支払いに遅れてしまったときは、保証会社が入居者さんに家賃の督促をする、保証会社が入居者さんの代わりに家賃を大家さんへ支払うという流れです。
倉川
あくまでも契約するのは入居者さんと保証会社です
契約内容によって、お金の流れは2パターンあります。
ひとつは、入居者さんから大家さんや管理会社に家賃を振り込み、支払いがなかった場合に大家さんや管理会社から保証会社に連絡を入れるパターン。この場合、家賃の滞納報告が支払い予定日から何日以内という決まりがあるので注意が必要です。
もうひとつは、保証会社が家賃の引き落としをして、毎月保証会社から家賃が振り込まれるパターン。この場合は、滞納があったかどうかは保証会社が把握しているので連絡は必要ありません。
それなら引き落としをしてもらった方がいいと思うかも知れませんが、実はリスクもあります。それについてはあとでご紹介します。
保証会社がやってくれること
保証会社が保証してくれるのは家賃だけかというと、そうではありません。
保証会社の保証内容として一般的なのは以下の4つです。
- 賃料等
- 訴訟費用
- 原状回復費用
- 残置物撤去費用
これ以外にも、更新料や早期解約違約金、孤独死保険など、会社によってさまざまな保証を用意しています。保証とは違いますが、会社によっては入居者さん向けにいろいろなサービスを用意しているところもあります。
弊社で契約をお願いしている会社では、家賃保証1年分と原状回復or残置物撤去を保証してくれる契約です。保証内容が増えるほど入居者さんの費用負担も増えやすいこと、弊社では入居者さんの見極め・対応をしっかりしているので、多くの保証は必要ないと考えています。
保証会社は必要?家賃保証のメリット・デメリット
実は家賃の滞納が発生する確率は10%もありません。また、うっかり忘れを除くと1%程度が本当に家賃が支払えない状態の滞納です(※公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 「日管協短観」2020年4月〜2020年9月)。
それだけ滞納が少なくても、賃貸物件全体の95%で保証会社との契約が必要になっています(※公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 「日管協短観」2020年4月〜2020年9月)。
ではなぜそれほどまでに保証会社との契約が必要なのでしょうか。メリットとデメリットから明らかにしてみましょう。
【大家さん】家賃保証会社のメリット・デメリット
大家さんにとって一番のメリットが家賃の確実な回収による賃貸経営の安定です。
経営者である大家さんにとって、一番困るのが家賃滞納。家賃滞納があれば一時的に収入が減り、大家さんによっては0になります。追い出すこともできないので、他の人に貸すこともできません。借り入れをしていれば、支払いだけが続く可能性もあります。
倉川
では、連帯保証人をつければいいのでは?と思うのではないでしょうか。
法律上は、連帯保証人に請求をすれば支払う義務があるので、支払ってもらえます。断ることはできません。しかし、実務上ではどうでしょうか。連帯保証人に連絡をすると、「そんなことは本人に言え!」と言われて支払ってもらえないことがほとんどです。
そのため、保証会社と契約してもらうことで、連帯保証人よりも確実に家賃の回収ができます。家賃の引き落としサービスを利用していれば滞納の確認も必要なく、入金確認の手間がなくなります。
倉川
さらに入居者さんの審査もしてくれるので、安心してお部屋を貸しやすくなります
では、デメリットはあるのでしょうか?
大家さんのデメリットはありません。保証会社をつけることで入居者さんの初期費用負担が増え、入居者を逃すと言われることもあります。しかし、さきほどご紹介したように95%の物件で保証会社との契約が求められており、保証会社をつけることは一般化しています。
倉川
そのため、入居者さんの抵抗はそれほどないと考えられます
【入居者さん】家賃保証会社のメリット・デメリット
入居者さんのメリットは、連帯保証人を用意しなくてもいいことです。連帯保証人になってもらうには、収入の証明を出してもらう必要などがあり、かなり手間をかけることになります。
万が一、滞納してしまったときには、連帯保証人の方に迷惑をかけることにもなります。保証会社があれば、それらをすべて回避することが可能です。
さらに、2020年4月1日の民法改正によって、連帯保証人には極度額設定が必須になりました。これまでは漠然と連帯保証人のお願いをしていたものが、「200万円の連帯保証人になって」などと、具体的に金額が明示されるようになります。
金額が具体的であり大きいため、お願いされた方は不安を感じやすいのではないかと思います。
倉川
物件によっては、保証会社と契約しても連帯保証人を求められることもあります
デメリットは、保証会社に支払うお金がかかることです。保証会社の必要ない物件がなくなってきているため、仲介手数料などと同じように必要経費だと考えた方がいいかもしれません。
また、審査を通らないと部屋を借りることができません。保証会社によって審査の厳しさが違うため、同じ家賃でも保証会社によっては部屋を借りられないケースもあります。
保証会社でも対応できなかった事例
ここまで、保証会社をつけていれば安心という話をしてきましたが、必ずしもそうとは限りません。
倉川
保証会社をつけていたのに保証を受けられなかった事例を紹介します
それは都内の物件。借り主が民泊をするために定期借家契約を結んで貸していました。借り主は大阪に住んでいたのですが、たまに大阪へ出向いて定期的にお会いしており、東京に来られた際には一緒に格闘技観戦をするなど、友好な関係を築けていたつもりでした。
あるとき、家賃の滞納がありました。入金漏れなどはどこの物件でもあることですし、保証会社の対応もあるので大丈夫だと思っていました。ところが突然の夜逃げ…。
とにかく手続きをしないとと思い、保証会社に話をすると、「家賃の保証はしない。訴訟もしない」と。
ネックになったのは定期借家契約。定期借家契約が更新できなかったため、契約満了日後は保証の対象にはならなかったのです。
しかも、どうやら保証会社は滞納の督促をしていなかったようで、対応が遅れてしまいました。民泊は売上が不安定なため、保証をしてくれる会社はあまりありません。その中で探した会社だったのも、このようになった要因の一つかもしれません。
損害は60万円。
結局、滞納分は私たちが大家さんへお支払いすることにしました。この保証会社を選んだのは私たち管理会社なのもあり、少しでも大家さんの負担を減らして長いお付き合いをしていこうと考えたうえでの判断です。
これは少し特殊なケースですが、他にもトラブルを耳にしたことがあります。
保証会社が督促をしていなかったことで滞納が膨らみ、仕方なく訴訟に発展してしまったケースや、督促をして現地に行けば気付けたであろう室内での逝去が長期間に渡って放置されて、事故物件になってしまったケースなど。
任せていたらトラブルに巻き込まれたということは普通に起こりうるため、安心して任せられる保証会社を選び、リスク対策をしていくことが必要です。
保証会社の選び方|弊社が見ている3つのポイント
一般的には、保証会社を選ぶ際に気をつけるのは規模の大きさ。特に、しっかりと利益が出ていて、財政的に余裕のあるところが安心感があります。
倉川
ただ、弊社では他にも3つのポイントでチェックして、今の保証会社に決めました
- 丁寧な仕事をしてくれる
- 審査のときに、借り主や緊急連絡先に連絡をしてくれる
- 滞納があれば督促をし、必要であれば現地に行ってくれる
これは事前のリサーチではわからないため、実際の仕事ぶりを見ていく必要があります。いくつかめぼしいところを探して依頼し、一番いいところに集約していくという流れです。
実際、借り主や緊急連絡先に連絡をしていないのに、審査が完了したと連絡が来るところがありました。連絡が来たかどうかは、借り主からの連絡でわかります。保証会社は忙しいので放置されることもあり、連絡がつかないことを教えてくれないことがあります。
大家さんは管理会社が選んだ保証会社に依頼するしかありません。どこの保証会社にしているのか、なぜそこにしているのかなど、ぜひ一度確認してみてください。
弊社では、保証会社の審査だけで安心するのではなく、自分たちでも入居者さんの見極めをするようにしています。
保証会社を使うときのリスク対策
さきほど紹介したように保証会社を選んでいれば、リスクはかなり抑えられるはずです。しかし、それでも気を付けておきたいのが倒産のリスク。過去には最大手といわれた保証会社が破産したことがあります。
倉川
あのときはみんな大変でした。今でもトラウマになっています
そのため、倒産リスクへの対策は必要です。
弊社でやっているのは2つ。
- 借り主と保証会社に関する特約を結んでいる
- 引き落としを利用しない
特約で新しい保証会社との契約をスムーズに
もし保証会社が倒産すると、その瞬間から借り主さんには保証会社との契約がなくなります。万が一、家賃滞納が発生したときには、連帯保証人がいなければ誰も保証してくれません。
そこで、保証会社がついていない状態をなくすため、賃貸借契約の中に、もし保証会社が倒産した場合は借り主が新たに保証会社に入る特約を設けています。
借り主としても、支払った保証料が返ってこず、被害者のようなものです。それでも保証会社との契約について特約をいれておくことで、スムーズに保証会社との契約をしてもらいやすくなります。
確実に家賃を回収するために保証会社の引き落としは使わない
保証会社の営業を受けると、「引き落とした家賃は信託口座に預けられて誰も引き出せないように保全されているので、回収できないリスクはありません」と説明されます。
倉川
では、保証会社が破産したとき、いつになったら家賃が回収できるのでしょうか?
破産すれば、弁護士などが破産管財人になり、財産や債務の把握・整理に動きます。実際に債務を解消できる段階になるまで、口座に預けられた金銭は引き出すことが不可能になります。すると、実際に支払われるまでの期間は、長期になることが確実です。本当にすべて回収できるのかも不明です。
そんなリスクを大家さんに背負わせることはできません。また、先程のように自分たちにも責任があると言って支払おうにも、該当物件が膨大な数になり、金額が大きくなりすぎて払えません。
弊社では、家賃はすべて入居者さんから弊社に振り込んでもらい、入金チェックをしています。また、引き落としをするだけなら、別のサービスを利用することでも対応可能です。弊社でも、入居者さんの入金の手間を考え、引き落としができるような体制を順次手配しています。
まとめ
大家さんはなかなかご自身で保証会社を指定することはないと思います。しかし、今回ご紹介したように、保証会社によって保証内容や業務への取り組み方は違います。
どんな保証会社をつけているのか知らない場合、管理会社に確認をとって保証内容や評判などを調べてみるのがおすすめです。
また、入居者さんにとってもメリットのある制度です。これまで保証会社を使っていなかった大家さんも導入を検討してみてはいかがでしょうか。
お困り事があれば、ご相談もお待ちしております。
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こんにちは!大家さんの悩みを解決する管理会社、LivingTokyoの澤田おさむです。